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レバノンの象徴はなぜ杉なのか

赤・白・赤の横帯の中央に緑の杉を描いたレバノンの国旗
画像:Vexilla

レバノンを代表する国の象徴は、レバノン杉(Cedrus libani)です。緑の杉は国旗の幅広い白帯の中央に描かれています。国旗に使われる植物の図案として、とりわけ印象的なものの一つです。

杉は単なる飾りではありません。現代のレバノンとレバノン山脈、かつてこの地域に広がっていた杉林、そして長い歴史を結び付ける図案です。現在の国旗の形は1943年の独立期に生まれましたが、杉とレバノンの結び付きはそれよりずっと古いものです。

現在の旗と主な特徴は、Vexillaのレバノンの国旗のページで確認できます。この記事では、もう一歩踏み込んでなぜ杉がレバノンの象徴になったのかを見ていきます。

赤・白・赤の横帯の中央に緑の杉を描いたレバノンの国旗
レバノンの国旗。二本の赤い帯にはさまれた幅広い白帯の中央に、緑の杉が描かれています。

レバノンの象徴とは?

「レバノンの象徴は何か」と聞かれたら、最も分かりやすい答えはレバノン杉です。学名はCedrus libani。国旗に描かれているのも、この木です。

杉が力強い象徴になったのは、自然と国のアイデンティティの両方を表すからです。抽象的な記号だけではありません。レバノン杉は実在する樹種で、レバノンと周辺地域の山地にゆかりがあります。

ただし、国旗について憲法が定めることと、後世に広まった象徴的な解釈は分けて考える必要があります。レバノン憲法は緑の杉を国旗に描くと定めていますが、木の意味を一つに限定してはいません。

レバノン杉とはどんな木?

レバノン杉(Cedrus libani)はマツ科の針葉樹です。英国王立植物園キューの植物データベース「Plants of the World Online」は、この種をCedrus libaniとして掲載し、自然分布域をトルコ南部からレバノンにかけてとしています。

つまり、レバノン杉が野生で育つのはレバノンだけではありません。それでも、その名と象徴的な意味は、レバノンと同国の山地に残る杉林にとりわけ深く結び付いています。

キューのデータベースは、参照するIUCNの評価に沿ってこの種を「危急種(Vulnerable)」とも記載しています。国の象徴は、地域の自然遺産を形づくる生きた木でもあるのです。

なぜ杉がレバノンの象徴になったのか

その理由の中心にあるのは、杉とレバノン山脈、そして地中海東部の歴史との長い関わりです。この地域の杉は、特に価値の高い木材として古代から知られていました。

ユネスコによれば、「神の杉の森(Cedars of God)」は、かつてレバノンの山々を覆っていた広大な杉林の名残です。杉材は古代に高く評価されました。

杉は中東の古い文献や聖書の伝統にも登場します。だからといって、現代のレバノン国家が何千年も途切れずに同じ国の象徴を用いてきた、という意味ではありません。大切なのは、土地、樹木、文化的な記憶のつながりです。

近代のレバノンが国を示す明確な図案を必要としたとき、すでに国とその山々を強く想起させる杉は、ふさわしい選択肢でした。

1943年より前の旗にも描かれていた杉

現在の国旗の歴史と、杉という図案自体の歴史は同じではありません。Vexillaの歴史的な旗の資料では、1918年の旗にすでに杉が描かれています。1920年の旗ではフランスの三色旗の中央に、1943年の旗では現在に近い赤・白・赤の構成の中央に杉が見られます。

旗を囲む色や構成が変わる一方、杉は中心的な図案であり続けました。フランスの三色旗を用いた形からレバノン独自の国旗への移行には、独立期の政治的な変化も映し出されています。

現在のレバノン国旗は1943年にどう生まれた?

現在の国旗は、1943年のレバノン独立と直接結び付いています。レバノン軍が刊行した国旗の歴史に関する資料によると、同年11月、レバノンの国会議員たちが中央に杉を配した新しい赤・白・赤の旗を考案しました。

この歴史資料には、新しい旗の初期のスケッチが学校のノートの紙に描かれたという、よく知られた話も載っています。単なる逸話にとどまらず、国旗の誕生が独立をめぐる当時の切迫した政治状況と近接していたことを伝えています。

新しい国旗の定義は、その後1943年12月7日の改正によってレバノン憲法第5条に盛り込まれました。

憲法は国旗の杉をどう定めている?

憲法第5条は、旗の色と杉の配置を定める重要な資料です。

  • 旗は赤・白・赤の三本の横帯からなります。
  • 中央の白帯の高さは、上下の赤帯を合わせた高さと等しくなります。
  • 白帯の中央に緑の杉を描きます。
  • 杉の上端は上の赤帯に、下端は下の赤帯に達します。
  • 白帯に対する杉の基本的な大きさも定められています。

杉は任意の装飾ではなく、憲法が定める国旗の一部です。一方で、憲法は枝一本一本まで指定した唯一の詳細図を示してはいません。重要な特徴を保つ限り、描き方には多少の違いがありえます。

レバノン杉は何を象徴する?

正確に答えるには、法的に定められた図案と、より広い文化的な解釈を区別する必要があります。憲法は緑の杉を求めていますが、その意味を一つの法的定義に固定してはいません。

何よりも杉は、レバノン、その山々、歴史的な遺産の連続性を示す図案です。ユネスコも、杉がレバノンの人々と土地の結び付きの中で持つ重要性を述べています。杉が強い国の象徴になった背景が、そこから見えてきます。

杉は長寿、不変性、強さともよく結び付けられます。ただし、これらは象徴的な解釈であって、憲法による公式の意味の定義ではありません。

国旗の赤と白は何を意味する?

色にも複数の伝統的な解釈があります。赤は独立と自由のための犠牲、白は平和や純潔、レバノンの雪に覆われた山々と結び付けて語られます。

こうした説明も、法的に唯一の意味として定められているわけではありません。憲法第5条が規定するのは色と配置であり、各色に一つずつ拘束力のある象徴的な意味を与えてはいません。

国旗の杉は特定の樹種を指す?

はい。図案が指すのはレバノン杉、Cedrus libaniです。任意の針葉樹というわけではありません。その輪郭は、旗を見分けるうえでも大切な特徴です。

成熟したレバノン杉には、幅広く、層をなすように枝を広げた樹冠が見られます。国旗ではその自然の姿を、小さく表示しても分かる明確な図案に簡略化しています。

「神の杉の森」――風景の中に生きる国の象徴

レバノン杉は旗の上だけにあるわけではありません。国の北部にある「神の杉の森」(Horsh Arz el-Rab)は、ユネスコ世界遺産「カディーシャ渓谷と神の杉の森」の一部です。

この地域は1998年に世界遺産に登録されました。ユネスコは、この森を、古代に木材が珍重されたレバノンの広大な杉林の残存地と説明しています。

レバノンの象徴が興味深いのは、同じ杉が図案であり、生きた樹木であり、国の自然・文化遺産の実在する一部でもあることです。

レバノンの国旗を見分けるポイント

多くの国旗は、帯、十字、星、単純な幾何学模様を中心に構成されています。大きな木を中央に描く国旗は、はるかに少数です。

レバノンの国旗には、次の三つの特徴があります。

  • 赤・白・赤の横方向の構成
  • 中央の幅広い白帯
  • 中央にある大きな緑の杉

この組み合わせは独特で、小さな画像でも、まず杉に目が留まることが少なくありません。ほかの国と比較するときは、Vexillaのアジアの国旗もご覧ください。

国旗クイズではどう見分ける?

クイズでは、杉を覚えておけばレバノンの旗を比較的見分けやすくなります。

  • 中央の緑の木を見たら、レバノンを思い浮かべましょう。
  • 背景は横方向の赤・白・赤の帯です。
  • 中央の白帯は、それぞれの赤帯より明らかに幅広くなっています。
  • 図案は杉であり、葉やヤシ、紋章の盾ではありません。

アジアの国旗クイズや世界の国旗クイズで練習できます。

レバノンの象徴について、よくある質問

レバノンを代表する国の象徴は?

最もよく知られた象徴はレバノン杉(Cedrus libani)です。緑の杉は国旗の中央にも描かれています。

国旗に描かれた木は何?

レバノン杉(Cedrus libani)です。この木は国の山々や歴史と長く結び付いてきました。

なぜ国旗に杉があるの?

杉はレバノンの自然、山々、長い歴史を国旗に結び付けます。1943年に現在の赤・白・赤の旗が用いられる前から、図案として使われていました。

レバノン杉はレバノンだけに生える?

いいえ。キュー植物園の「Plants of the World Online」によれば、自然分布域はトルコ南部からレバノンに及びます。それでも、レバノンとの歴史的・国家的な結び付きは特に強いものです。

現在のレバノン国旗はいつ採用された?

緑の杉を描いた赤・白・赤の旗は、1943年の独立期に使われ始めました。その定義は同年12月7日に憲法第5条に盛り込まれました。

杉の正確な形は法律で決まっている?

憲法は色、配置、主な比率を定めていますが、枝の細部まで一つの図に固定してはいません。そのため、細かな描き方には違いがありえます。

レバノンの象徴を振り返る

レバノンを象徴するのはレバノン杉です。実在の風景と古い地域の伝統に国旗を結び付けるところに、その力があります。レバノンの山々の杉は古代から知られ、現在の国旗より前にも旗の図案に使われていました。

1943年、杉は独立期の新しい赤・白・赤の旗の中央に置かれました。現在も憲法第5条は、緑の杉を国旗の欠かせない要素と定めています。

Vexillaでさらに見る

出典・参考資料

執筆者 Valto Tunnusの肖像

Valto Tunnus

象徴とデザインのライター

Valto Tunnusは旗の意味や色、形、視覚的なデザインを解説しています。

Valto Tunnusは編集用ペンネームであり、特定の公人を指すものではありません。

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